田島のグリップずらしは可能か(1)

リアルな野球描写が特徴のおおきく振りかぶって(おお振り)ですが、それに相反するような描写があったのが、桐青戦で田島悠一郎が見せたグリップずらしです。


おおふり最大の見せ場と言ってもいいくらいの、西浦VS桐青の息詰まる熱戦をさらに昇華させた田島の一撃が果たして可能なのかどうか、相変わらずの素人視点ですが、検証・考察してみたいと思います。



おおきく振りかぶって

多分なんですが、ある程度野球を知っている方なら、田島のグリップずらしは「無理でしょ^^;」と思った人が大半なのではないでしょうか。


まず、スイング中に指2本分ずらしてバットを握るなんて芸当ができるのかどうかという疑問が湧きます。


桐青の捕手河合は、バットの遠心力を使ってバットを振ったと考察していますが、振り始めの段階で指をずらせるほどのバットの遠心力を得られるのかどうかという疑問が生じます。


バットを振り切った後ならそれもわからなくはないんですが……


ただ、おお振りのコミック8巻を見ると、田島がグリップをずらしたのはインパクトの直前なんですよね。さらに、河合が言うように遠心力を利用しているように見えます。


グリップをずらすこと自体が難儀な上、仮にずらせたとしても、そこからもう一度バットをしっかりと握って強い打球を飛ばせる体勢が作れるのかどうか……


遠心力を使うのではなく、小手先でバットをずらすのであれば何とかなりそうな感じがします。


投球と同時に、右手をずらし、左手をずらし、そして振り抜く。


これならギリギリ何とかなりそうなんですが、原作の中のような描写は無理なのではないかと。


力を抜きすぎてバットがすっぽぬけてしまうか、うまく力を抜けずに失敗してしまうか。


田島の場合、作中でこれを特別意識せずに無意識下で行っていることがすごいんですが……





スポーツ・ジャーナリスト、大村義和さんのコラム(http://www.mizuno.co.jp/column/vol40.html)からの引用ですが、

「大リーグで投手の手から放れた球を打者が打つ瞬間までの時間は平均0.54秒、打者の平均スイング時間は0.28秒。だから差し引きすると投手の手を離れて0.26秒後、つまりバッテリー間のほぼ中間あたりに球がくるまでに、打者は振るか見送るかの判断をしなければならない」

という記述があります。


田島とメジャーリーグの打者とを比較するのは無理があるとは思いますが、それでも、必要とする時間に大差はないでしょう。というよりは、田島が打者として優れているとすれば、スイングスピードもかなりのものであるはずです。


仮に、上記の打者の平均スイング時間0.28秒をそのまま田島に当てはめたとしても、そのわずか0.28秒の間に、グリップをずらし、その際にバットを握る力を緩めたそれを再び強め、シンカーの球筋を的確に捉え、レフト頭上を越える打球を飛ばせるのかどうかという、単純な物理的問題が生じます。


いくら田島が天才とは言っても、彼も人間です。人間ができる枠を飛び越えることは不可能なのではないかと思うのですが……田島は実は宇宙人だったというなら話は別ですけど(^^;)


以上をふまえて、正直なところ、田島のグリップずらしは不可能であるというのが個人的な結論です。

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